幻時夢想話4

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やっと出来ました幻想4話。
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「ほんっとーにごめんなさい!!」
パンっと、勢いよく顔の前で合わせられた手を見つめ、それにレニサは大げさにため息をついた。
「本当に反省しているな?」
「ホントにホント! これ以上ないくらい反省してる!!」
「そのセリフ、確か1ヶ月前にも聞いたが?」
「・・・あぅ」
「因みに同じような事、ちょっと前にも言ってたよな〜」
「あ・・・・・・ぅ、でぃ、ディー君は黙ってて!!ていうか、いっつもディー君が悪いんじゃないか!!」
「なにおぅー!?」
「あー・・・・・・うるさい」
壊れた扉の前で、ギャンギャン騒ぎ出した二名に、長髪の男――レニサにトナレスと呼ばれていた――は、耳を押さえながらちらりとカイとレニサを盗み見た。
相変わらず突き刺さったまんまの机をぽかーんとして見ているカイと、腕を組んでコンコンと右足を踏み鳴らしているレニサ。
――徐々にレニサの周りの温度が下がっているのは、気のせいじゃない。
そろそろこの辺で止めないと、レニサが爆発しそうだよなぁ。
ぼや〜と、そう思いはしたがこのまま放って置いてもそれはそれで面白そうな気がした彼は、一度全員を見渡した後ひとつ頷いて、カイの方に向き直った。
「ちょいちょい、そこのヤツ」
「・・・・・・」
「・・・・・・おーい?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・セーシェランドくーん?」
「・・・・・・え、あ、はいっ。何ですか!?」
余程壁に刺さった机が衝撃的だったのか、後一歩で己等を殺しかねなかった凶器からやっと目を逸らして慌てて返答したカイに、トナレスは苦笑して右手を振った。
多分、この少年の反応がこの中で一番正しい。
「そんなに畏まらねぇでもいいよ。どうせ家族になんだし」
「・・・・・・ぇ?」
少しの間を空けて目を見開いたカイに、トナレスは「あれ?」と思った。
もしかして人違い・・・・・・だろうか?
「え、お前、レニサが連れてきたって事は・・・・・・“カイレイン・セーシェランド”だよな? 新入生の」
慌てて付け足した言葉に、カイはこくりと頷く。
トナレスは、自分の身長は結構ある方だと自負しているが、それに匹敵するほどの高さを持つこの少年のやけに可愛らしい仕草に思わず噴出しそうになる。
流石に噴出す事は無かったが、その顔に笑みを浮かべて彼は改めて手を差し出した。
「ん。 じゃあ、自己紹介。俺はトナレス・ウィッチーニ。とりあえず、お前が入る班の最年長やってる」
はぁ・・・・・・と、気が抜けたのか困惑したのかよく分からない声を出して手を握り返してくるカイに、トナレスは苦笑する。
で、あれが、と彼は振り返って未だに言い合いをしている二名を指差した。
「ちびっこい茶髪が、ディープ・クィナ。金髪の横髪が長いのが、コルット・サニヴァン」
二人が迷惑かけたなという言葉に、未だに状況が把握できていないカイはまた「はぁ・・・・・・」と生返事をして、改めてマジマジと言い争う二人を見た。
わざわざ結ばなくても・・・と、思うくらいの長さの髪を、首の後ろでちょこんと結んでいる茶髪の小柄な少年と、平均くらいはありそうな身長に、やけに間延びしたしゃべり方をする横の髪だけを伸ばした金髪の少年だ。
金髪の方は、カイと同じくらいの年齢に見えなくも無い。
眺めていれば、自然と彼らの声も耳に入ってきた。
「この間だって、あれだけ触るなって言ったのに!!」
「あんな所にあんなモン置いておくお前が悪い〜。通行の邪魔ー」
「ムキー!ああ言えばこう言って! ディー君の癖に!!」
そこまで聞いて、カイは「あれ?」と首を傾げた。
それを見たトナレスは、
「あぁ、間違ってないよ。茶髪がディープで、金髪がコルット。でも、何でかディープはコルットの事を“ディー君”って呼ぶんだよ」
ディープ自身の方が、余程「ディー君」なのにな? と、彼は続けた。
「気になるなら、後で何でか聞いてみれば?」
「・・・・・・あ、いえ・・・・・・別に」
によによとした顔で言われて、慌ててカイは首を振った。
・ ・・・・・どうやら自分の入る事になる班のメンバーは、変な人が多そうだ。
何だか静かに生活するなんて無理そうだ、とカイが溜息をつく間にも二人の言い争いは続いている。
「本当の事だろぉー?」
「〜〜〜っ!! もう怒った――・・・」
「怒ったのはこっちだ馬鹿者ぉおおおおおおおおお!!」
突如響いた怒声と、景気のいい音に、思わずカイとトナレスは目を瞑って肩を竦めた。
と言っても、トナレスのによによ顔は健在だが。
そろそろと目を開けると、そこには肩を怒らせて仁王立つレニサと、頭を抱える二人の男。
「貴様ら、いい加減にせんか!! 言った側から喧嘩か、えぇ!?」
「ぁう・・・・・・だ、だって」
「だっても何も無い! 見ろ、カイレインが驚いているだろうが!!」
びしっと指差すニレサに、「いえ、今はあなたの怒声に驚いています」とは言えず、カイレインは曖昧な笑みを浮かべる。
今度はレニサの説教を二人で延々と聞く事になった二人を眺めて、トナレスはふぅと息を吐きながら部屋を更に見渡し、あの机まで目を向けた。
瞬間、今までのによによ顔が信じられないほど、一気に青ざめる。
――あまりにも大人しく部屋の隅っこに佇んでいた為、すっかりこの事を忘れていた。
しかし、誰も彼の変化に気づくことも無く、レニサの説教はヒートアップしていく。
「いいか! いつもいつも同じことの繰り返しばかり! お前らには成長って言葉が無いのか!?」
「「・・・・・・」」
「コルットも自分の性質が分かってるのだから、注意くらいはしろ! ディープもいちいち目くじらを立てるな!! 壊されるのが嫌なら、この阿呆の目のつかない所に置いておけ!!」
「阿呆って〜・・・・・・」
ちょっと酷くないー? というコルットの抗議を華麗に無視し、レニサは続ける。
「大体今時痛い目に遭えば・・・・・・」
「ちょいちょい・・・・・・あの、レニサ・・・・・・」
「煩い。 今時痛い目に遭えば猿でも学習するぞ」
「レニサ、おい・・・・・・」
「トナレス煩い黙れ。ペアを組んでいる癖に、いつもいつも飽きずに喧嘩ばかり。情けないぞ私は。だからいつもミレンの机が」
「レニサ、その机が」
「あぁ、もう何だ!?」
先ほどから何度もレニサの肩を叩く彼に、レニサは苛立ちながら振り向く。
と、同時に彼の後ろに見える例の机を見て、先程のトナレスの如く、一瞬で青ざめた。
因みに、先程から説教を受けていたディープとコルットは途中からレニサの言葉など既に耳に入ってなく、机を凝視していた。
突然静かになった彼らに、カイは頭に「?」を浮かべながら、皆が見つめている場所に彼も目を向ける。
そこは、さっきカイが見ていた時には居なかったはずの、鮮やかな青い髪を持つ少女が机の側に一人。
ぐすんっ、と微かに鼻をすする音が聞こえた瞬間、カイと少女以外の全員が慌てたように両手を勢いよく振った。
「ち、違う!! みーちゃん、違うんだよ!!」
「ほ、ほら、俺ら仲良しだよな〜!?」
「もう大丈夫だから、ミレン早まるな!!」
「というか、大体コルットとディープの喧嘩なんていつもの事・・・・・・」
――それは逆効果だ、この馬鹿なっすー!!
一瞬だけ、心が一つになった三人は、しかし口をパクパクと動かすだけで、肝心の声が出なかった。
例え出たとしても、それが何かの助けになったかどうかは不明だが。
何が何だか分からないカイレインを尻目に、それまで「ぐすんっ」という啜り泣きのような音しか発さなかった青髪の少女が、ぴくりと反応する。
「・・・い、いつも・・・・・・」
「まずっ・・・・・・!」
「トナレス! 責任もってミレンを押さえ・・・・・・」
しかし、レニサが言えたのはそこまでだった。
瞬間、目にも留まらぬ速さで“ミレン”と呼ばれた少女は壁の机を――・・・・・・引き抜いた。
「うそぉおおお!?」
「けん、か・・・・・・喧嘩は・・・・・・駄目ですぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」
彼女は引き抜いた勢いもそのまま、ぐるんと体を反転させ、己の倍はあろうかと言う机を物凄い速さで投げつける。
一番側に居たカイの側を机がギリギリのところで掠っていく。
その後すぐ、この部屋へ来た時よりも少し鈍いが、威力的には遜色の無い破壊音が部屋の中に響き渡る。
――一瞬、その場に居たほぼ全員の時間が確実に止まった。

カラン・・・・・・。

軽いものが落ちたような音で、ようやく時間が戻ってくる。
また、シーンと室内が静まりかえる。
その場に居た全ての人間・・・・・・特にディープとコルットは、カラクリ人形のようにぎこちなく首を横に動かして、己等の間を飛んでいった机の通った後を追った。
そして、どう見ても細身でか弱そうな少女が『投げ飛ばした』その机は・・・・・・先程とは真反対の壁に、より深く突き刺さっていた。
「――喧嘩・・・は、・・・・・・駄目で、す」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」」
びぃぃん・・・と未だに衝撃で揺れている長机を見ながら、恐怖で引きつった声が同時に返事をした。
レニサとトナレスは、彼女を止めようと手を突き出した体勢のまま、コクコクと頷く。
それに満足したのか少女は突き刺さったまんまの机に手を伸ばし、壁に足を置いて勢いよく引き抜いた。
静かな室内にぱらりと壁の屑が落ちる音が響く。
そして少女は、何事も無かったかのように机を床に置くと、そろそろとトナレスの側へ寄って行き、彼の後ろへ隠れる。
一気に音が奪われたままの空間で、誰もが気まずくて声を発せない。
それでも何か言うべきと、最年長という責任からか、もしくは禁句を言った罪悪感からか、トナレスがぽつりと言った。
「・・・・・・紹介が遅れた。コイツは・・・・・・ミレン・アインステル・・・・・・、だ」
「よろしく・・・・・・お願いします、です」
トナレスの後ろからちょこんと顔を出してミレンがペコリと頭を下げる。
後に、この時カイが何を思ったのかと聞いたとき、
「最近の机はあんな衝撃を受けても傷がつかないなんてすごいなぁ と思った」
と、語ったそうだ。

――もちろん、ただの現実逃避だったことは言うまでも無い。



 / →


前回に引き続き、話が大分変わりましたが前とまったく同じせりふの所もあります。
しょっぱなから喧嘩ばっかりのWD。
仲はいいんですよ、とっても(ぇ
コメント
この記事へのコメント
ミレンのこれは絶対入れたかったでのですww
そして帰ってきましたよーなっすー!w
リーダーは次回だと思われますw
カイは、前のときより更に優柔不断になってしまったやもしれません・・・w
2008/07/08(火) 01:48 | URL | 返信 #leF2ecbc[ 編集]
ミレンの凄まじさはご健在のようでw
そして何より!

ナッスー!!!
おかえり、待っていたよ、ナッスー!(ウルサイ

カレン君のキャラも前よりボケ度が増したようでいい感じです。

次回どうなるのか楽しみにしています〜b
2008/07/08(火) 01:37 | URL | 桜桃 #u2lyCPR2[ 編集]
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