幻時夢想話2

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幻想第二話です。
初めて読む方はここからどうぞ。
「ねぇ、今日うちに新しい人が来るんでしょ?」
休み時間、クラスメイトから「お前んトコのガキが来てるぞ」と言われた時点で、何となくその話だろうとは思っていた。
案の定、廊下へ出てみると、ウズウズした様子で待っている、己がよく知っている背の低い少年がいた。
「だからなんだ」
「でさ、『にーさ』がペアになるんだよね? 『ディー君』と外れて以来、班員(うち)の中で誰とも組んでないの、にーさだけでしょ?」
相変わらず何の曇りも無いような期待の篭った目をして、目の前の少年はぴょこぴょこと軽く跳ねている。
興奮すると軽くジャンプする彼の癖は、未だに直っていないらしい。
茶髪の少年は、そのまま『にーさ』の返事も聞かずに続ける。
「でね、『ナッスー』が言ってたんだけど、昼休みに歓迎会しようって」
「・・・・・・あいつはただ騒ぎたいだけだろうが」
班員(メンバー)の中では年長組みの中の一人なはずなのに、目の前の少年並みに騒ぐ事が好きな人物を思い浮かべて、『にーさ』はため息をついた。
そもそも彼は昨日の遅くにこの「学園」に帰って来たはずで、新入生の話はまだしていなかったはずなのだが。
もしかして、この目の前の落ち着きが無い少年が、今みたいに態々教えに行ったのだろうか。
だとしたらご苦労な事だ、確かこの少年と彼の学び舎が一番離れているはずだから――と、ここまで考えて『にーさ』は首を振った。
(いや、どうせあいつはサボってるんだろう)
そんな事を思っていると、少年は首を傾けながら、
「『レイさん』から聞いたんだって」
「あぁ、納得」
少年の言った言葉に思わず頷く。
確か『レイさん』も地上へと行っていて、本当ならこの話は知らないはずなのだが、彼なら何となく納得できてしまった。
しかしそれでも、『ナッスー』と『レイさん』の飛ばされた場所は確か別だったはずなのだが・・・・・・何年経っても、あの最年長組みは自分達にはよく分からない。
それでね、と続けようとした少年に、『にーさ』は手を上げて待ったをかけた。
「『ディープ』、分かった。どうせ私に連れてこいと、言いたいのだろう?」
「そう!」
話がはやーい、と少年――『ディープ』は喜ぶと、そのまま走り出しそうな様子を見せながら、
「じゃあ、昼休みに待機室に集合ね! 『みーちゃん』には僕から言っておくから!!」
と言って、実際走って行ってしまった。
普通なら「廊下を走るな!」と言うところだろうが、残念ながらここは普通では無いし、寧ろ教師の方が
「走れ! 走っても問題無い位にならんと、地上では全く役に立たんぞ!!」
と言っていたはずだ。
「私は確認しただけで、『連れて行ってやる』と言った覚えはひとつも無いのだがな・・・・・・」
少し呆れた様子で『にーさ』は呟き、
「まぁ、どうせ校長に、後で会って来いと言われていたし」
と、思い直して深く息を吐いたのだった。



*  *  *



浮遊石のお陰で現在、人類その他の生物は地腫から逃れて生活している。
しかし浮遊石も持ち上げる大地に限度があり、空にまるで島のようにプカプカと浮いている状態だ。
そして風に流されて常に移動している。
このスーノルド学園のある天地もその一つだ。
「・・・・・・しつこいかもだけど、何で俺ここに居るんだ?」
現在居るのは、学園寮の自分の部屋。
カイレインはジーと鏡を見ながら問いかける。
しかし、当たり前だが映っているのは自分の顔。
返事をくれる者は誰も居ない。
そのままパタリと背中からベッドに倒れこむ。

――どうして、こんな事になった?

自分は、ただ静かに生きたかったはずだ。
多くの人間が地上へと帰りたいと思う中、カイレインは別にそう思っていなかった。
確かに天地での生活は不便だ。
浮島のように移動する天地。
別の天地へ移動するには、天珠を持つ人間を主人とするサポーターか、飼い馴らした天獣に乗るしかない。
そして今いる天地はスーノルド学園があるだけで、他の街などは一切無い。
まさしく監獄だ。
街を転々とし、やっと永住の地を見つけたと思ったら、政府からの入学命令書。
天珠は生まれたときにすぐさま調べられるが、カイレインの物はとある事情で政府に報告されていなかった。
それがどこで分かったのか、命令書が来た時は本当にこの世が終わったと思った。
「・・・・・・戦場か」
面倒臭い、と左腕を枕にして横を向く。
まだ明るい空に、鳥が横切っていくのが窓から見えた。
その平和な様子が嫌味に見えて、彼は顔を顰めると反対を向く。
そうしたら今度は壁にかけた制服が見えた。
「マジで最悪だ・・・・・・」
出来ればこのまま一生人目に付かずに生きていたかったが、どうもそう簡単に行かせてくれないらしい。
せめてもの抵抗は、このままやる気ナシでDランクになることだろうか。
そうすれば、教師も生徒も出来損ないと自分を見なくなる。
それなら空気と一緒だ。
そこまで考えて、カイレインは頭の中で否定する。
駄目だ、それだと逆に「出来損ない」という事で目立つ。
良くも悪くも無い、中途半端か平均的が一番目立たない。
そう言っても、それが一番難しい事だと分かっているので嘆息する。
そんなカイレインにくすくすと笑う声が聞こえた。
「・・・・・・笑うな」
それに「すまん」という返事が聞こえて、笑い声も消えた。
更に溜息をつき、彼は何度も読んだ、校長から渡された資料をまた読み返そうと紙に手を伸ばした時――・・・
コンコン・・・・・・
部屋をノックする音が聞こえてきた。
居留守を決行しようとしたが、しつこくコンコンとドアを叩く音が響く。
流石に無視できなくなったカイレインは、のろのろと起き上がると「どちら様ですか」と声を上げた。
「レニサ・ヴェルーラだ。 ここはカイレイン・セーシェランドの部屋か?」
ハキハキとした声が聞こえてきた。
カイレインは自分の格好がおかしくない事を確認すると、ドアを開ける。
そこにはカイレインよりいくらか低い、金髪の少年の姿があった。
「お前がカイレインか?」
「え、あ、はい」
「今日からお前と組むことになった、レニサだ。よろしく」
そう言ってレニサは手を差し出してきた。
それにおずおずと握り返しながらも、カイレインは首を傾げる。
今はまだ昼で、授業中のはずだ。
なのに何で生徒がここに居るのか・・・・・・。
そんな心中に気付いたのか、レニサは気まずそうに顔を背けると「校長だ」と言った。
「今日からパートナーになるヤツが入ったから、相手をしてやれと言われたんだ。それに今は丁度昼休みだし・・・・・・。サボった訳じゃないぞ」
それで、と恥ずかしさを誤魔化す様にレニサはカイレインを見た。
「お前はちゃんと名乗らないのか?」
「は? あぁ!すみません。・・・・・・俺はカイレイン・セーシェランドと言います・・・・・・よろしくお願いします」
「上出来だ」
身長はカイレインより低いが、同い年くらいに見えるレニサはまるで年下を扱うかのように頷くと、指を立てて後ろを指した。
「今からグループでお前の歓迎会をする。だから早く制服に着替えて来い」
「グループ・・・・・・ですか?」
「詳しい事は途中で説明する」
下で待っている。
そう言ってレニサはキビキビした足取りで、寮の階段を下りていった。
それをドアから覗くように見ていたカイレインは、入学初日から面倒だと溜息をついた。
その様子にまた笑い声が聞こえたが、今度は風に流されたように、カイレインの元には届かなかった。



 / 


今回も前に少しと、文章の微妙な表現変えだけです(’’
ここで大体のキャラの名前(・・・・・・では、無いね。一人だけ出てるけど)を出せましたかね?
前回のと少し違うヤツもいらっしゃるようで(’’

このままあだ名を「ディー君」で行くかすごい迷ったぜ。。。。(ややこしいんだもん!
コメント
この記事へのコメント
微妙にですけどねw
そして全員名前を挙げたと思ったらリーダー忘れていましたよ。。。。

ニーサンはギンさんが言ってましたねw
悩みに悩んでこうなりましたw
後で気づいて校長の名前を修正時に変えればよかったと気づいた私は馬鹿です(’’;
2008/06/03(火) 21:33 | URL | 返信 #leF2ecbc[ 編集]
おぉ、微リメイクだっ。(ぇ
あだ名、「にーさ」になったんですかw
色々挙がってましたよねぇ、「ニーサン」とk(ry

変化を楽しみつつ読み返していくとしますよw
2008/06/03(火) 17:44 | URL | ギン #Z5pQUshY[ 編集]
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